【カンタン解説】リフォーム費用は減価償却する必要がある?

【カンタン解説】リフォーム費用は減価償却する必要がある?

リフォーム費用には減価償却をする必要がある場合とそうでない場合があります。
一般住宅の場合は減価償却や耐用年数を気にする必要はあまりありませんが、事業用物件にてリフォームを行う場合であれば理解しておく必要があります。
 
本記事ではそもそも減価償却とは何か、減価償却すべきリフォーム費用とそうでないリフォーム費用の違いをなるべくわかりやすく解説していきます。
 
 

減価償却(げんかしょうきゃく)とは

減価償却とは、税務申告において事業投資にあたる費用を複数年にまたがって計上することです。
 
事業利益が出た年度に、利益を小さくするために節税目的で必要以上の投資をすることを国が制限する目的があります。
 
減価償却の税制が適用されるのは、経年劣化する建物や機械設備などが対象です。土地など経年による価値の減少がないものは減価償却の必要はありません。
住宅などの不動産においては、取得金額を建物の用途と構造により定められた法定耐用年数で分割して毎年の減価償却費を計上します。
設備や機械装置も、その種別ごとに法定耐用年数が定められています。
 
参考:国税庁HP 法定耐用年数
 
 

減価償却するべきリフォーム費用とは

事業目的でリフォームをする場合、リフォーム費用が「資本的支出」の場合は減価償却が必要となり、「修繕費」の場合は減価償却が不要です。
どのようなリフォームをするのか、リフォーム費用はいくらかなどによって、「資本的支出」か「修繕費」かの判断が異なります。
 
建物の価値や耐久性を向上させるリフォームが「資本的支出」です。金額の目安としては20万円以上で、現状維持のための修復ではなく、建物の価値を向上するリフォームになります。
 

減価償却が必要な資本的支出の具体例
  • その①・・・工事費用が20万円を超えるリフォーム工事
  • その②・・・現状回復ではなく、元の姿より価値を高める工事
  • その③・・・事業販促を目的とした模様替えや増築、設備の追加工事
  • その④・・・災害対策としての設備の強化や追加工事

 
 
資本的支出にあたるリフォーム工事の場合は、工事費用の減価償却をします。
減価償却の計算方法は「定額法」と「定率法」の2種類があります。
建物や建物附属設備及び構造物に関するものは、基本的に「定額法」で計算されます。
定額法は毎年の償却額が均等になるように計算します。定額法による減価償却費の計算式は以下の通りです。
 
定額法の減価償却費=取得価額×定額法の償却率
 
参考:国税庁HP 定額法と定率法による減価償却(平成19年4月1日以後に取得する場合)
 
 

減価償却しなくてよいリフォーム費用とは

 
リフォームの費用が「修繕費」にあたる場合は、減価償却の必要が無く、年度に一括で経費計上します。
 
「修繕費」とは、「建物の原状回復を目的とした小規模なリフォーム費用」のことです。原則として工事費用が20万円以下の工事に適用されますが、定期的に行っている修繕であれば、20万円以上でも修繕費扱いとなるケースもあります。また、自然災害で受けた損害を回復するリフォーム工事も修繕費として計上します。
 
 

減価償却しなくていい修繕費の具体例
  • その①・・・工事費用が20万円以内のリフォーム工事
  • その②・・・原状回復のために行われる修繕工事
  • その③・・・工事費用が20万円を超えているが、定期的に行っている修繕工事
  • その④・・・自然災害で被害を受けた部分の修復工事

 
 

まとめ

ここまで、リフォーム工事の減価償却について解説してきました。
 
「資本的支出」と「修繕費」のどちらとなるかによって、その扱いが変わってきます。
賃貸物件の経営などでは、賃料収益と経費のバランスにより賢く節税できる場合もありますので、「資本的支出」と「修繕費」を上手に使い分けることがおススメです。